2004年12月26日に発生したインド洋大津波は、震源地に近いインドネシアをはじめ、タイ、スリランカ、モルジブ、そしてインドのタミルナドゥ州など広範囲にわたって未曾有の被害をもたらしました。タミルナドゥ女性フォーラム(TNWF)、タミルナドゥダリット女性運動(TNDWM)、および農村開発教育協会(SRED)は、この緊急事態に対して世界中からのパートナーからの支援を受けながら、救援活動に乗り出しました。インド国内では軍や海上保安隊が出動したり、国際NGOが救援活動に従事したりと、大規模なオペレーションが行われましたが、その中で小さな草の根組織を統括する私たちのようなネットワーク組織は、数台の携帯電話だけで、コミュニティのニーズの正確な把握に努め、数台の車で津波被災地域の目の届かないコミュニティを駆け回りました。その中で、様々な惨劇と、社会の問題を目の当たりにしました。 |
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| まずは、災害弱者の問題です。インド洋大津波では女性が災害弱者となってしまいました。実際に女性の死亡率が顕著でした。助かった場合でも、たとえばショックのあまり流産をしてしまう女性や、避難の際に髪の毛やサリーが引っかかってしまい、より多くの傷を負う女性、避難をした後でも子どもを亡くしたことを男性のパートナーやほかの家族に責任を追及されて精神的な問題を抱えてしまう女性、失業するなどストレスを抱えた男性のはけ口として暴力を受ける女性たちの問題を見てきました。また、たとえばシェルターの運営方法や復興事業など、多くの災害対応において、ジェンダーにあまりにも無頓着な現状を見てまいりました。たとえば、避難所では女性の着替えるスペースや女性専用のトイレがしっかりと確保されておらず、それが原因で精神的に支障をきたす女性もいました。 |
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バックウォーター地区の被害をもTNWFは見てきました。メディアでは海岸・漁民の被害が大きく報じられていますが、津波はその破壊力が集中しやすい入り江、および養殖漁業や水耕農業が盛んなバックウォーター地区も襲いました。この地区の住人のほとんどはダリットやイルラー先住民族。波の高さは海岸沿いで記録された6mよりはまだ低い1mだったため、漁民コミュニティに比べて死傷者の数といった点ではそれほど多くないものの、生活に与えた影響は甚大です。彼らの多くは小作農だったため、塩害によりだめになった畑を目の前に、多くは失業してしまいました。しかし、社会の注目は直接的な被害を受けた漁業・漁民だけに集中し、州政府でさえも認めざるを得ないほど、バックウォーター地区への被害評価は遅れてしまい、生活の復興はなかなか進んでいません。 |
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自然災害は無差別に襲いますが、災害に対する社会対応はこの緊急事態に至っても、差別的です。インドでは1999年のグジャラート地震などでもカーストによって援助が受けられない事態が起こりましたが、津波災害でも私たちはカースト差別を目の当たりにしました。私たちは最初は、すべてのコミュニティを緊急支援の対象としていましたが、次第に直接支援活動は援助を受けられないダリットやイルラー先住民族のコミュニティに移ってきました。バックウォーター地区だけではなく、ダリットであっても漁業を営んでいるコミュニティなどでは、明らかにほかの漁民カーストから、復興において差をつけられています。私たちもイルラー先住民族コミュニティの支援物資を運ぼうとしたら、途中の高カーストの寺に行く手を阻まれたこともありました。 |
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| 上記以外にも、観光開発のために立ち退きにあっている地区の人びと、支援の対象を世帯ごとにしてしまったために支援物資を受け取ることを目的に結婚させられた人びとなど、様々な人びとがTNWFの下に集まっています。津波からもう数年が過ぎようとしていますが、コミュニティの抱えている問題はあまりにも大きいのが現状です。 |